【知識】ガス?灯油?ホワイトガソリン?間違えたら大変なことになるキャンプ用の燃料解説!

キャンプでこそありがたみを感じる文明の利器、いろいろありますが、一番はやはり「火」ではないでしょうか?

キャンプにおける火の用途と言えば調理、照明、暖房が主なところかと思いますが、燃料には意外といろいろなものがあり、ギアによって使っていい燃料と使ってはいけない燃料があります。

間違って使ってはいけないものを使ってしまうと、ギアが壊れたり、最悪大事故につながる可能性もはらんでいますので、しっかりと違いを理解して使うときに間違えないことが大事です。

ただ、すごく大事なことなのですが、いろいろな燃料について全部まとめて説明が書いてあるところってなかなかないんですよね。

そこで今回は燃料自体やまつわる注意点を一挙整理したいと思います!

もし間違いや追加すべき燃料などあればコメントいただけますと幸いです。

この記事はどんな人向け?
・似たような名前のキャンプ用の燃料を一気に理解したい人
・燃料に関する注意点をまとめて知りたい人
・燃料について科学的にかつ化学的に理解したい人

目次

  1. まず燃料にまつわるよくある疑問
  2. 燃料の種類の前に、燃料を特徴づける物性値
  3. 燃料の種類にはどんなものがあるか?
  4. 燃料を持ち運ぶ容器
  5. おわりに

まず燃料にまつわるよくある疑問

まず紛らわしいところを最初にクリアにしてしまいたいと思います。

原理含めて詳細はそのあとに記載します。

白灯油と灯油、ホワイトガソリンとガソリンは同じ?別物?

これは本当に紛らわしいですよね。名前が悪いとしか言いようがありません。

  • 白灯油と灯油は同じもの
  • 白灯油とホワイトガソリンは別物
  • ホワイトガソリンといわゆる車用のガソリンも別物

繰り返しにはなりますが、これは確実に押さえておいてください。

間違えるとギアが壊れたり、最悪爆発したりする恐れもあります。

違いがよく分からないという人は、「燃料の種類にはどんなものがあるか?」の「灯油と「ガソリン」の項目を読んでみてください。

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灯油の容器にガソリンを入れてもいいか?

世の中的には間違える人も多いと聞きますが、答えはダメです。

灯油の容器にガソリンを入れると、静電気などから発火の恐れがありますので絶対にやめてください。

よく分からなくなった場合は、「燃料を持ち運ぶ容器」をご覧ください。

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ガソリンってどうやって買うの?

ホワイトガソリンは通販や店頭で買えますが、レギュラーガソリンの場合はどうしたらいいかということです。

ガソリンはたとえ携行缶を持っていても、自分で入れることができませんので、ガソリンスタンドの従業員の人に入れてもらうようにしましょう。

フルサービスのスタンドなら入れてくれると思いますが、セルフのところは場所によるみたいで入れてくれるか否か聞いてみないと分からないようです。

自分が行こうとしているところで入れてくれるか確認してみましょう。

 

某放火事件の影響で、ガソリンは購入の際に本人確認と使用目的を聞かれるようになりましたが、キャンプの燃料用と自信をもって答えれば問題ないはずです。

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燃料の種類の前に、燃料を特徴づける物性値

沸点・蒸気圧・引火点について説明しますが、少し(だいぶ?かなり?)お勉強っぽい話になるので、細かいことはちょっと…という人は沸点・蒸気圧・引火点という言葉だけ覚えて次の「燃料の種類にはどんなものがあるか?」からお読みください。

言葉の意味が気になったら戻ってきて読んでみてください。

沸点

沸点とは液体が蒸発するときの温度です。

「笑いの沸点が低い」などと日常的なたとえとしても使われるので、沸点は多くの人が聞いたことがあると思いますが、水は100℃が沸点というと一番イメージしやすいでしょうか。

これから説明する液体燃料は一言でいうと「油」ですが、燃えやすさや安全性に違いがありますが、燃えやすさや安全性の程度を示すのに使われるのが沸点と考えればよいと思います。

一般には沸点が低い方が燃えやすく危険で、逆に高いほど安全です。

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蒸気圧

蒸気圧は沸点よりはイメージが付きづらいですが、ある温度で液体がどれぐらい蒸発しているかを示すもので、圧力で表します。

揮発性の高さと言い換えてもいいと思います。

まず液体が蒸発しているというのがイメージが付きづらいと思いますが、普通の液体は沸点にならなくても少しずつ蒸発しています。

例えば、テーブルに水をこぼした場合、拭き取らなくても放っておけばいつかは乾きます。

これは水に蒸気圧があり、沸騰しなくても水が少しずつ蒸発しているからです。

なぜ蒸気「圧」で表されるかというと、密閉容器の中の液体のことを考えているからです。

密閉容器の中にある液体を考えると、下図のように液体は気体になったり液体になったりを繰り返しています。

これを気液平衡(きえきへいこう)の状態と言いますが、このときの気体になった分の圧力を蒸気圧と言います。

温度を上げると蒸気圧が上がっていき、蒸気圧が大気圧と等しくなった点が沸点です。

一般に蒸気圧は沸点と逆で、沸点が低いほど蒸気圧が高く、燃料としては燃えやすいです。

大気圧は天気予報などで気圧と言われているものです。高気圧で1024hPaや、台風の中心気圧が950hPaなどで聞いたことがあるのではないでしょうか。

気液平衡:液体は常に蒸発と凝縮を繰り返している。
温度を上げると蒸発する分が大きくなり、蒸気圧が高まる。
やがて蒸気圧は大気圧と等しくなり、その時の温度を沸点と呼ぶ。

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引火点

引火点は少し語弊がありますが、液体が燃えることができる温度です。

アルコールなどの液体に火をつけると、液体がまるごと燃えだしたりはせず、ちゃんと上から燃えていくと思います。

これは液体が燃えるというよりは、蒸発した液体と空気が混ざり合ったもの(混合気)が燃えて、蒸発燃焼というものが起こっているからです。

温度が低いと、液体の蒸気圧が小さいため蒸発する分が少なく、混合気中に燃料があまり混ざっていないため、火があっても燃えません

空気中でただライターを付けたときがこの状態です。ライターを消すとそのまま火も消えます。

一方、温度が上がっていくと蒸気圧が上がっていき液体が蒸発する分が増えるので、混合気中の燃料の割合が増えていき、火をつけると燃えるようになっていきます。

だんだん温度を上げていき、燃え始めるときの温度を引火点と言います。

一般に、引火点は沸点と同じで、低いほど燃えやすく危険で、高いほど安全です。

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燃料の種類にはどんなものがあるか?

一般的に燃料というと石油・石炭などの化石燃料や天然ガスなどが浮かびますが、さすがにキャンプでそんな工業的なものは使いません。

大きく分けると固形燃料液体燃料に分かれますが、成分としては化石燃料や天然ガスと似たようなものになっており、なんらかの形で炭素(C)をたくさん含んでいるものとなります。

ただ、固形燃料液体燃料も本当にいろいろな種類のものがあって非常にわかりづらいですので、以下それぞれ詳しく説明していきます。

が、単純にメリットやデメリットだけを知りたければまとめに飛んでいただければOKです。

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固形燃料

固形燃料は文字通り状態が固体の燃料です。

固形燃料の特徴としては液体より運びやすさはありますが、燃料の体積あたりの燃焼時間はあまり長くないです。

つまりかさばる割には燃える時間が短いということです。

これは燃料の純度が液体燃料よりは低いからかなと思います。

ただし、に代表されるように手軽に調達して使用できるところがメリットです。

薪(枝・炭などの木材全般)

薪に代表される木材は燃料としては古来より最もメジャーに使われてきたものだと思います。

薪をはじめとした木材はセルロースなどの形で炭素を大量に含んでいるため燃えます

逆に炭素以外のものもけっこう含まれているため、きれいに燃やしても灰が残ったり、燃やしている途中も煙が出て目が痛かったり不完全燃焼が起こりやすかったりします。

とはいえ、多くのキャンプ場で簡単に調達することができる最もポピュラーと言ってもいい燃料です。

ちなみに広葉樹と針葉樹があり、着火しやすいのは針葉樹ですが、火持ちがいいのは広葉樹と言われています。

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カエン

カエンは商品名でニイタカという会社の固形燃料です。他にもニチネンという会社も出しています。

旅館で各人の鍋の下にいるあの青い燃料のことといえばイメージできる人も多いのではないでしょうか?

主成分はメタノール、エタノールなどのアルコールで、それを石鹸のようにロウみたいなもので固めたのがこの青色の固形燃料です。

だいたい20~25分ぐらいしか燃えないように作られているのでずっと加熱するのには向きませんが、メスティンやクッカーで使うとちょうどお米が炊けるので自動炊飯に便利です。

エスビットのポケットストーブと併用されることが多いですね。

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液体燃料

液体燃料は文字通り液体の燃料で、後述の気体を圧縮して液体にしたものも含みます。

持ち運びが固体燃料よりしやすいところや必要な分だけ注いで小分けで持ちだせるところがメリットです。

液体燃料はかなり種類も形態も多様なので、以下詳しく説明していきます。

ガス(OD缶・CB缶)

キャンプ用品で言ういわゆるガスは名前の通りもともとは気体なのですが、液化ガスのことで高圧にしたガスを液体にして缶に封入してあるものを指します。(気体は高圧にすると液体になります。)

缶は2種類あり、OD(オーディー、アウトドアの略)缶やCB(シービー、カセットボンベの略)缶と呼ばれています。

OD缶は太くて背が低い形で主にシングルバーナーツーバーナーに、CB缶は細長い形で同じくシングルバーナーやツーバーナーの他、家庭用のカセットコンロなどに使うことができます。

一概には言えませんが、傾向としてはCB缶のほうが家庭用含む一般用途で、OD缶のほうが低温耐性などキャンプや登山などのアウトドア用途を意識した成分になっています。

 

成分はメーカーによって異なりますが、プロパン、イソブタン、ノルマルブタンのうち、だいたい2種か3種の混合ガスになっていることが多いです。

単にブタンと書いてあるときはノルマルブタン主体のイソブタン混じりで特に分離してないものだと思われます。

 

メリットはやはり使い方が簡単なことで、基本的には捻って点火するだけで簡単に着火することができます。

逆にデメリットは長時間使用や寒いときのドロップダウン現象です。

このドロップダウン現象は液化燃料であるOD缶やCB缶で顕著で気化熱によって温度が下がり蒸気圧が減少することで燃焼が起こりづらくなる現象です。

対策として何らかの方法で缶を温める必要があります。

気化熱は液体が気体になるときに奪う熱のことで温度が下がります。汗をそのままにすると体が冷えてしまうのも、夏に道路に打ち水をして温度が下がるのも水が蒸発するときに気化熱を奪って周囲の温度を下げることによるものです。

このドロップダウン耐性がガスの種類によって変わるため、性能をコントロールするためにわざわざ混ぜ物を作っています。

性質としてはプロパンが一番ドロップダウンに強く、イソブタン、ノルマルブタンの順に低温に弱くなり火力が下がっていきます

と言っても、気温が10℃を下回らなければどれも問題なく使うことができます

 

ガスのシングルバーナーについては次の記事をご覧ください。

 

以下は原理なので、興味がなければ次の灯油に飛んでいただきたいですが、このようにガスによってドロップダウン耐性が違うのは、ガスによって沸点蒸気圧が異なっているからです。

正確には蒸気圧ですが、沸点のほうがイメージしやすいかもしれません。

蒸気圧はある温度での液体の蒸発しやすさを表しますが、基本的には沸点が低いほど蒸気圧は大きくなります

つまり、低温耐性は蒸気圧が高い≒沸点が低いものほど高いと言うことです。

ガス 沸点 [℃] 蒸気圧 [MPa(38℃)]
プロパン -42.1 1.2
イソブタン -11.7 0.41
ノルマルブタン -0.5 0.26

引用元:「液化石油ガスの性質について」より物性値を引用し単位換算

プロパン・イソブタン・ノルマルブタンの物性値を引用すると上表のようになりますが、沸点はプロパン<イソブタン<ノルマルブタンの順になっており、プロパンが一番低温でも火力を維持できることが分かります。

にもかかわらず、プロパン100%のものが売っていないのは、プロパンだけだと液化させるのに必要な圧力が高圧すぎる25℃で約9気圧=大気圧の9倍)からです。

ブタンなら2~3気圧なので、つまりブタンを空気の2~3倍ぐらいの圧力で封入すればOKですが、プロパンだと9倍ぐらいの圧力で封入しなければいけないので、容器も単純計算で3倍以上丈夫にしなければいけないですし、万が一破裂したとき非常に危険です。

そのためわざわざ混合ガスを缶に封入して性能を調整してるわけですね。

ガス缶もなかなか奥深いです。

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ホワイトガソリン(白ガス) / レギュラーガソリン(赤ガス)

ガソリンとは炭素数が5~11ぐらいの炭化水素の混ざりもので、普通にガソリンと言ったときは車に使うガソリンを指すことが多いです。

車で使うガソリンは着色されて赤っぽい色をしており、赤ガスと呼ばれます。

一方、キャンプで使うガソリンは無着色のためホワイトガソリン、もしくは白ガスと呼ばれます。

コールマンのホワイトガソリンは青く着色されていて、青ガスと呼ばれたりもしますが、物としては白ガスと同じものです。

 

ホワイトガソリンは引火点が-40℃とかなり低いため、冬場でも安定して着火して火力を得られるのが魅力です。

一方、危険物なので持ち運ぶ容器が基準を満たしている必要があったり、使うときにポンピングやプレヒートが必要だったりと慣れるまでは少しハードルが高いかもしれません。

 

このホワイトガソリンガソリンは同じような名前のため紛らわしいのですが違うもので、基本的には共用してはいけません

キャンプギアの中にはMSRのドラゴンフライSOTOのMUKAストーブのように共用できてしまう優秀なものもありますが、基本的には共用不可です。

逆に車にホワイトガソリンを使うと、ノッキングを起こしまくってエンジンが壊れてしまいますので、絶対にダメです。

 

じゃあ何が違うのかというと違いは添加剤や硫黄分などの不純物オクタン価です。

車用のガソリンオクタン価向上剤などの添加剤が入っていたり、残留硫黄分があったりするので、キャンプギアで使うと煤(すす)が出て詰まったり故障の原因になったりします。

一方でホワイトガソリンほぼ純粋な石油成分だけでできているので、煤が出づらいというわけです。

キャンプギアで共用できない理由としてはこの煤の出やすさが大きいです。

 

一方、オクタン価についてですが、オクタン価とはオクタンという炭素数が8の炭化水素が含まれている割合のことです。

ガソリンスタンドのハイオクの「オク」はオクタンの「オク」だったんですね。

オクタン価は車のノッキングのしにくさに効いていて高いほどよいです。

※ノッキングとはおおざっぱにいうと意図しないタイミングでガソリンが爆発してしまうことで、エンジンの故障につながります。

JIS規格(JIS K 2202)によると、オクタン価はレギュラーガソリンで89以上、ハイオクガソリンで96以上と定められていますが、これに対してホワイトガソリンのオクタン価は50~55ぐらいと言われています。

このホワイトガソリンのオクタン価は車のガソリンとしては話にならないほど低く車でホワイトガソリンを共用できない理由となっています。

ちなみにキャンプにおける燃料という観点で言うと、ホワイトガソリンもガソリンも引火点が-40℃以下と表現されることが多いですが、実際にはこのオクタン価により燃えやすさが少し違います

実際にENEOSの安全データシート(SDS)を見てみると、ホワイトガソリンの引火点は-50℃以下レギュラーガソリンの引火点は-40℃以下と記載されており、多少差があることが分かります。

 

まとめると石油分としては純度が高いですが、オクタン価は低いのがホワイトガソリンで、オクタン価は高いですが、純度が低いのがレギュラーガソリンです。

この違いにより基本的に共用はできません

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灯油(白灯油、ケロシン)

灯油は昔なら一番身近だった燃料です。赤い灯油の容器には懐かしさがありますね。

白灯油ケロシンという呼び方をすることもありますが、いずれも普通の灯油と考えて問題ありません。

正確には白灯油は1号灯油のことで精製度が高く、茶灯油という2号灯油と明確な区別がありますが、日本で流通している灯油はすべて1号灯油なので、実際問題として全部同じです。

 

灯油の代表的な使い方は石油(灯油)ストーブやハリケーンランタンなどが挙げられます。

レインボーストーブやフュアーハンドランタンなどがそれにあたります。

 

灯油の成分はあまり聞きなれないですが、ノナンやドデカンといったC(炭素)が9~15と長めの炭化水素になっています。

ノナン(C9)やドデカン(C12)はガス(OD缶・CB缶)で出てきたプロパン(C3)やブタン(C4)の仲間で、炭素数(Cの長さ)違いの物質です。

炭素数が大きい灯油は沸点が高くガスガソリンに比べると比較的安全で燃えづらい燃料になります。

灯油の沸点は150~250℃ぐらい引火点も40℃以上です。

 

灯油の良さはこの安全性に加え、何より値段が安いことです。

一方、使用時に煤が出やすいことなどからメンテナンスには少し手間がかかります

その手間も含めて楽しむのがキャンプだったりしますけどね。

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アルコール

アルコールは飲料としては聞きなじみのある物質です。

普段私たちが飲むお酒に入っているのはエタノールです。

最近は消毒用としても有名なのでよく知られていると思います。

一方、燃料用のアルコールの組成はメタノールのみかメタノールとエタノールの混合物となっていることがほとんどです。

用途はやはりアルコールバーナー(アルコールストーブ)がメインでしょうか。

 

メタノールはエタノールと名前は似ていますが(毒劇法的には劇物)で、多量に飲むと失明する危険がありますのでアルコールだからと言って決して飲んではいけません。

性質としては揮発性(蒸気圧)が高くメタノールは沸点65℃・引火点11℃エタノールは沸点78℃・引火点13℃となっており、アルコールの沸点・引火点は灯油とガスの間と言ったところです。

バーナーとして使うときは揮発性の高さから比較的すぐに使うことができるのが特徴です。

燃えやすく使いやすいですが、炭素数が少なく燃焼熱はあまり大きくないため、火力はそこまで大きくなく、燃費もあまりよくないです。

すなわち、長時間の調理にはあまり向きません

パッとお湯を沸かしたりするのには最適な燃料です。

また、海外での登山などに持っていく際に、アルコールなら現地の薬局やスーパーなどで容易に手に入るというのもメリットの1つです。

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パラフィンオイル

パラフィンオイルはあまり聞きなれないですが、物としてはいろいろなところに使われていて、炭素数C20以上の炭化水素の混ざりものです。

組成によって固体だったり液体だったりしますが、キャンプで使うものは専ら液体で、主にハリケーンランタンをはじめとした灯油ランタンの代替燃料として使われます。

キャンプで使うものは引火点が95℃以上になっており、キャンプ用の液体燃料の中でもトップレベルで燃えづらく安全なのが一番のメリットです。

ただし、値段が灯油よりけた違いに高いです。

灯油は1Lで100円ちょいですが、パラフィンオイルは1Lで2000円前後しますので、まさにけた違いですね。

ハリケーンランタンは灯油用のものだ、という意見もありますが値段と安全性の兼ね合いで好きな方を使えばいいのかなと思います。

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燃料のまとめ

いろいろと各燃料の特徴を説明してきましたが、物性を含めて特徴をまとめると以下になります。

燃料 販売時の名称 主な用途 沸点 [℃] 引火点 メリット デメリット
プロパン OD缶、CB缶 シングルバーナー
ガスランタン
カセット式ガスストーブ
-42.1 -104.4 捻れば着火できる手軽さ 連続使用時のドロップダウン
イソブタン 同上 同上 -11.7 -56 同上 同上
ノルマルブタン 同上 同上 -0.5 -60 同上 同上
レギュラーガソリン ガソリンスタンドのガソリン 17~220 -40≦ 低温でも安定して火力が出る
‘どこでも手に入る
使えるものが限られる
ホワイトガソリン ホワイトガソリン ガソリンバーナー(ガソリンストーブ)
ガソリンランタン
50~140 -50≦ 低温でも安定して火力が出る ポンピング・プレヒートなど
慣れるまでハードルが高い
メタノール アルコール燃料など アルコールストーブ 65 11 海外においても入手しやすい 火力が低く、燃費もあまりよくないため、
長時間燃焼にはあまり向かない
エタノール アルコール燃料など アルコールストーブ 78 13 同上 同上
灯油 灯油 ハリケーンランタン
石油ストーブ
150~250 ≦40 引火点の面で安全性が高い
圧倒的に安い
煤などがでやすいため、
メンテナンスが手間
パラフィンオイル パラフィンオイル ハリケーンランタン 95 引火点の面で最も安全性が高い 価格が高い

※表がはみ出ている場合は右スクロールできます。

こうしてみると燃料ごとにけっこう特徴があることが分かるので、用途によって自分に合ったものは何なのかを選ぶ必要があります。

例えば、手軽さ重視ならガスでしょうし、低温重視ならホワイトガソリンでしょうし、コスト重視なら灯油軽量・コンパクト性重視ならアルコールといった具合です。

持っていくのがソロキャンプなのかファミリーキャンプなのか、また登山なのかによってもどれが適するかは変わってくると思います。

一般にはバーナー、ランタン、ストーブなど燃料を使うもので燃料種を統一したほうが、燃料を持っていく手間から考えても良いといわれるので、なかなか完全に統一するのは難しいのですが、他のギアとの兼ね合いも考えてみると良いと思います。

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燃料を持ち運ぶ容器

燃料は消防法における危険物。容器には基準あり。

ここまで説明してきたさまざまな燃料ですが、日本では引火性液体として消防法により危険物に指定されています。

引火点によって安全性が変わりますが、燃料のまとめの表は引火点の順に並べてあるので、下に行くほど安全性が高いということになります。

プロパン・イソブタン・ノルマルブタンのガスはそれ自体は危険ですが、缶に封入されていて直接燃料を扱うことがないので、実際に取り扱いとして一番危険なのはガソリン・ホワイトガソリンになり、使用には注意が必要です。

逆にこの中では最も安全性が高いパラフィンオイルにしても消防法的には危険物に該当するため、取り扱いには十分に注意するようにしましょう。

 

取り扱いとは具体的にどういうことかというと、火種を不用意に近づけないのは当たり前ですが、容器についても適切なものを使う必要があります

重要なのはガソリンと灯油

  • 危険物なので持ち運ぶ容器(携行容器)に基準がある
  • 特に第一石油のガソリン・ホワイトガソリンに灯油の容器は使えない
  • ガソリン・ホワイトガソリンは容量にも制限がある

に留意する必要があります。

詳細は次項で説明します。

 

ちなみにこれらの引火性液体は分類上、危険物第4類というものになり、その中で引火点の温度で第一石油から第三石油に分類されます。

参考に各燃料の分類を示しておきます。

燃料 消防法分類
レギュラーガソリン 危険物第4類 第一石油類
ホワイトガソリン 危険物第4類 第一石油類
メタノール 危険物第4類 アルコール類
エタノール 危険物第4類 アルコール類
灯油 危険物第4類 第二石油類
パラフィンオイル 危険物第4類 第三石油類

※ちなみに消防法の分類は固体や液体に適用されるので、もともと気体である液化燃料のプロパンやブタンは消防法上では危険物ではありません。

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容器の基準

特に気を付ける必要があるのはガソリンと灯油

繰り返しになりますが、容器を選ぶにあたって気を付ける必要があるのはガソリン・ホワイトガソリン灯油です。

ガソリン容器

  • KHKマークがついている容器
  • UNマークがついていて、金属なら22L以下、プラスチックなら10L以下の容量の容器

のいずれかで、灯油容器なら

  • 灯油用ポリエチレンかん推奨・認定マークがついている容器

であればOKですが、ガソリン容器で代用してもいいので(ガソリンのほうが危険なので大は小を兼ねるイメージです)、結局

  • KHKマークがついている容器
  • UNマークがついている容器

も灯油用として使うことができます。

ただし、誤使用を防ぐために灯油と分かるように表示が必要です。

逆に、灯油用の容器にガソリンを入れると消防法違反になりますし、危険なのでやめてください

灯油の容器はポリエチレン容器のことが多いですが、ガソリンを入れると静電気が発生して引火する恐れがあるからというのが理由です。

 

例としてはガレージ・ゼロのガソリン缶はUN規格適合で3Lなので、問題なくガソリンを携行できます。

また、灯油容器だとドイツ製のヒューナーズドルフが人気ですが、ドイツの製品安全規格であるTUVに加えてUN規格適合のため、こちらも灯油タンクとして問題なく使用できます。

 

また、一応各マークについても調べたので興味あればご覧ください。

※ちなみに容器の基準については北海道深川市のページが分かりやすかったので参考にしました。

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KHKマーク

引用元:北海道深川市のページより

危険物保安技術協会の基準を満たした容器なのでKHK規格です。

基本的にはこの基準を満たしていればOKなので、KHK規格適合マークが付いている容器を探してみると良いと思います。

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UNマーク

引用元:北海道深川市のページより

もうひとつはUNマークです。

UNマークは日本舶用品検定協会が国際連合輸送勧告に基づくもので、適合したものに付されます。

このUNマークは国際規格で、安全性としてはUN規格を満たせばKHK規格も満たすことになりますが、容量については国内法令にのっとっていない場合があるので注意すべきとのことです。

KHKマークとの関係について危険物保安技術協会のホームページに載っていたので、分かりにくいですが一応引用します。

UN表示とは、危険物の国際輸送に関する国際勧告(UN規格)に適合した危険物運搬容器に表示するものであり、 UN表示の付された容器は、消防法令の試験基準に適合したものとみなされますが、最大容量や必要とされる表示 (危険物の品名、危険等級、化学名、数量、注意事項等)について消防法令に適合していない場合があります。 例えば、UN表示の付された外国製のガソリン用プラスチック容器で20リットルのものがありますが、 日本国内では、ガソリンをプラスチック容器に入れて運搬する場合は、最大容積10リットルとなります。

危険物保安技術協会ホームーページのよくある質問より

ごちゃごちゃ書いてあるのですが要はUNマーク付きの容器を選ぶなら

  • 金属なら22Lまで
  • プラスチックなら10Lまで

ということです。

UNマークがついているだけだと、プラスチックなのに20Lのとかも売ってたりするから気を付けてね、ということです。

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灯油用ポリエチレンかん推奨・認定マーク

引用元:北海道深川市のページより

最後は灯油用ポリエチレンかん推奨・認定マークです。

このマークは日本ポエチレンブロー製品工業会というところが発行しているものだそうで、JIS規格(JIS Z 1710:2012)に準拠した容器に貼られているようです。

灯油についてはこれが貼っていなかったからと言って違反というわけではないようですが、漏れたりしたらイヤなので、できればついているものを選ぶべきだと思います。

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おわりに

今回はキャンプで使う燃料について徹底的に説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

僕自身よく分からないなと感じる部分から原理に至るまでかなり細かくまとめたので、燃料について分からないことがあったら参考にしてもらえると幸いです。

特によくある疑問にもある白灯油と灯油やホワイトガソリンとガソリンは間違えがちなのと、間違えると事故になる恐れもあるので本当に気を付けてください。

それでは今回の記事がみなさんが燃料について理解する一助となれば幸いです!

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Photo by Joshua Bartell on Unsplash

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