【ノウハウ】【ギア】登山における三種の神器の1つレインウェアの選び方!
みなさんはレインウェアは持っていますか?
いわゆるカッパの高機能版ですが、登山をする人なら必ず持っていてほしい基本装備です。
しかし、雨の日は山に登らないしなぁと言うことで持っていない人も意外にいるのもまた事実です。
最近のレインウェアはいわゆるビニールのカッパとは大きく違い極めて高機能なので、その特徴と選び方を紹介したいと思います。
この記事はどんな人向け?
・初めてレインウェアを買おうとしている人
・今まではレインウェアはなしで来てしまった登山者の人
目次
なぜレインウェアが必要か?
冒頭にも挙げたように、登山なんて晴れの日しか行かないしなぁという人が多いと思います。
僕自身もそうです。初めから雨だったら予定を見送ることがほとんどです。
では、なぜそれでもレインウェアが必須なのかと言われれば、
- 晴れ予報でも山では突然雨が降ることがあり得る
- 万が一ずぶ濡れになった場合、命に関わる可能性が出てくる
この2点に尽きます。
やはり山では天候が変わりやいため、突然のにわか雨に見舞われることは珍しくないです。
そんなときに例え持っていたとしてもかさを持って手をふさぐわけにもいかないです。
つまり、雨が降ってもレインウェアを着ないということはそのまま濡れることを意味します。
少し濡れるぐらいなら問題ないですが、なかなか乾かないぐらいに濡れてしまうと重くなりますし、なにより急激に体温を奪われてしまいます。
これは山では大変な命取りとなります。
天候が変わり、雨&気温が下がったときなどはレインウェアがないとかなり危険な状態に陥ると思います。
レインウェアがあればとりあえず雨は防げますし、簡単な防風もできるため、結果防寒にもなります。
そういったさまざまなリスクを回避する意味でレインウェアは必須の三種の神器と考えています。
求められる性能
では、どんな性能があればよいのかですが、主に
- 防水・透湿・撥水性
- ストレッチ性
- 携行性
- 耐久性
になります。
一番重要なのは当然、防水・透湿・撥水性ですが、それぞれ以下で細かく解説します。。
防水・透湿・撥水性
レインウェアの性能として最も代表的な防水・透湿・撥水性は一見似たような言葉に聞こえますがそれぞれ意味が違います。
- 防水性:ウェアの中に外から水がどれだけ中に染みてこないか。
- 透湿性:ウェアの中の水蒸気(=つまり蒸れ)をどれだけ外に逃がすことができるか。
- 撥水性:ウェアの外側表面でどれだけ水をはじくことができるか。
以下詳細に説明します。
防水性
これはどれだけ水が染みてこないかなので、一番イメージしやすいと思います。
耐水圧 [mm]という指標で定量的に(数字で)表され、数字が大きいほど高性能です。
意味合いは「1cm四方(=1cm2)の面積の上に水の筒を立てたときどれだけの高さまで水が染みこまないか」です。
一般には以下のような感じです。
20,000mm:嵐でもOK
10,000mm:大雨でもOK
2,000mm:中雨でもOK
300mm:小雨ならOK
それぞれどれぐらいの雨なのかイメージがつきづらいですが、体重75kgの人が濡れたところに座ると約2,000mm、膝をつくと11,000mmぐらいの耐水圧がないと浸水してしまいます。
つまり20,000mmぐらいあれば、体勢問わず防水性としては問題ないと言えると思います。
※以下は定義の話なので、理科や算数が苦手な人や興味がない人は次項の透湿性まで読み飛ばしてもらって大丈夫です。
耐水圧の単位
「1cm四方(1cm2)の面積の上に水の筒を立てたときどれだけの高さまで水が染みこまないか」を見て、
理系の人は「耐水「圧」と言っているのに単位が圧力じゃなくてmmなのかー」と違和感があると思いますが、水銀柱のイメージをするとしっくりくると思います。(760mmHg=1気圧)
ですが、せっかくなので耐水圧1 [mm]は何 [Pa]なのかを計算してみたいと思います。
例えば、耐水圧1000 [mm]であれば、1 [cm2]の上に1000 [mm](=1 [m])の高さまで耐えられることになります。
水の密度は1 [g/cm2]なので、100 [g]の水が1 [cm2]の面に乗って押しているイメージです。
この時の水圧はPaで言うと、0.1 [kg]×9.8 [m/s2]÷10-4 [m2]=9.8 [kPa]となっています。
つまり、耐水圧1000 [mm] = 9.8 [kPa] ≒ 10 [kPa]なので、
だいたい1 [mm] = 10 [Pa]であることが分かります。
※9.8 [m/s2]は重力加速度の値です。
透湿性
透湿性 [g/(m2・24hr)]は「どれだけの水蒸気を外に逃がすことができるか」を表す指標で、「1gの水蒸気を1m2の面積の生地が24時間かけてどれだけ逃がすことができるか」を表しており、値が大きい方が高性能です。
- 蒸れにくいもの:最低5,000g/(m2・24hr)、できれば8,000g/(m2・24hr)以上
- べたつかないもの:最低10,000g/(m2・24hr)、できれば20,000g/(m2・24hr)以上
と一般には言われています。
※以下も細かい話なので、理科や算数が苦手な人や興味がない人は次項の撥水性まで読み飛ばしてもらって大丈夫です。
定量的に必要な透湿性
大人の発汗量はだいたい
- 安静時:50g/1時間 =1,200g/24時間
- 軽い運動時:500g/1時間 = 12,000g/24時間
- 激しい運動時:1,000g/1時間 = 24,000g/24時間
ぐらいであり、これとレインウェアの面積は2m2程度であることを考慮すると、
- 安静時:600 [g/(m2・24hr)]
- 軽い運動時:6,000 [g/(m2・24hr)]
- 激しい運動時:12,000 [g/(m2・24hr)]
ぐらいあれば、レインウェアの性能としては十分であることが分かります。
発汗量には個人差があったりするので、べたつかないものが欲しい場合、できれば20,000 [g/(m2・24hr)]というのはそれなりに理にかなっている数値ということができそうですね。
撥水性
水をどれぐらい弾くことができるかを表す性能です。
防水と似ているようですが、表面にどれだけ水滴が残らないかを表すイメージで、主に透湿性をサポートする機能になります。
どれだけ生地が水蒸気を通すことができても、表面が濡れていると水滴が蓋をして水蒸気が蒸発することができないので、水滴にして早く弾いて流してしまう撥水性が重要となります。
この撥水性は表面の汚れなどによって左右されやすいので、レインウェアを使った後は洗う+撥水スプレーをかけるようにしましょう。
ちなみにこの撥水性は防水性や透湿性と異なり、各メーカーによって定量的数値は示されていません。
これはおそらく上述のように表面の汚れなどで撥水性は変化しやすいことと、レインウェアは立体的な形状をしていて数字を出すことにあまり意味がないからかなと個人的には考えています。(あくまで推測ですが)
撥水性を測るのであれば、例えば平らな生地の上に同じ量の水滴を置き、そのときの水滴の広がりを比較する接触角測定などが考えられますが、もし将来的にメーカーが撥水性を数字で出すようになるなら、「どれぐらいの度合い弾くのか」よりも「どれぐらいの期間弾いていられるか」を指標にしないとあまり意味はないと思います。
+α:ベンチレーション
生地にそこまで透湿性を持たせなくても、ファスナーなどで換気をしてしまおうというのがベンチレーションです。
開けて換気するので換気力は最強です。
ハードシェルやスキーウェアにはよく付いていますが、レインウェアでは必須ではないかなと個人的には考えます。
ソフトシェル・ハードシェル色の強い生地に厚みがあるものを選ぶときや、発汗量が多く蒸れが気になる人などはついてる人はついているものを選んでみるといいと思います。
ストレッチ性能
登山のスタイルにもよりますが、岩登りなどで腕を大きく伸ばす必要がある場合や大きな段差を登る場合はストレッチ性が必要なことがあります。
これは主に生地そのものにストレッチ性を持たせること、立体裁断など仕立てで解決するの2通りがあります。
前者の生地のストレッチ性は方向性(縦には伸ばしやすいけど、横には伸ばしにくいなど)があったりするので、重視する人は実際に着てみて取りたい体勢を取ってみるのがオススメです。
携行性
レインウェアは登山に必携ですが、出さなければただの荷物になってしまうものです。
もちろんそれに越したことはないのですが、その場合はやはり軽くて小さい方がうれしいため、軽量性・コンパクト性が大事になってきます。
もともと極めて軽量なものが多いですが、上位モデルは本当に軽いので軽量性を重視する人は要チェック項目です。
耐久性
主に見るべきは上述の項目ですが、必要な性能と言う意味では耐久性もあります。
例えばコンビニで売っているビニールのカッパはいざというにコンビニで入手できるのは便利ですが、だいたいすぐにどこかが破れたりしてしまい繰り返し使うには耐久性が足りないと思います。
富士山レベルの強風が吹く山だと1回の使用にも耐えないので、富士山にビニールのカッパを持って行くのはやめてくださいね。
そういった意味では昨今レインウェアとして売っているものは十分な耐久性を持っているため、耐久性を主眼に選ぶことはないと思いますが、性能としては必要で間違いなく備わっている必要があります。
で、どうやって選ぶ?
これらのたくさんの性能がある中でどれを優先して選ぶかですが、やはり防水・透湿・撥水性を主眼に選んでください。
+αとしてストレッチ性が欲しいなとか、携行性を重視したいなと各々が重視したいポイントを加えていけばいいと思います。
また、透湿性はベンチレーションがついていれば、多少低くてもいいかもしれません。
このあたりも自分の用途に応じてフレキシブルに選んでみてください。
オススメモデル
これらを踏まえてオススメモデルを紹介します。
mont-bell ストームクルーザージャケット
言わずと知れた国産メーカーmont-bellの超定番レインウェアです。
生地にはGORE-TEX GORE C-ニットバッカーテクノロジーというGORE-TEXの性能をさらに高めたものが採用されており、
- 耐水圧50,000mm以上
- 透湿性35,000g/(m2・24hrs)
- 重量254g
と十分な性能と軽量性を備えながら、約2万円と言ったコストパフォーマンスが魅力です。
Men’sやWomen’sで分かれているのはもちろん、Men’sの中でもXXLやフード脱着式のモデルがあったり、サイズ展開が豊富なのも魅力です。
デメリットは登山に行ったときに他の人とかぶるということぐらいです。
それぐらい登山者の間で愛される定番商品です。
mont-bell サンダーパス
同じくmont-bellの廉価モデルのレインウェアです。
生地がDRYTECというメーカー独自のレインウェアが使われており、
- 耐水圧20,000mm以上
- 透湿性20,000g/(m2・24hrs)
- 重量340g
とストームクルーザーには劣りますが、十分な性能を備えており、何より1万円を切ってくる価格が最も魅力です。
僕はこれを使っていますが、デメリットをあげるとしたら、ポケットの位置と携行性です。
ポケットはウエストベルト付きのザックを背負うとちょうどポケットの位置と干渉してポケットにアクセスできなくなってしまいます。
また付属のスタッフバッグに入れたときに余裕があり、かつ結構かさばるなと言う印象なので、もう一段階小さいスタッフバッグに入れるといいかもしれません。
とはいえ、このコストでこのクオリティには何の文句もないと言う感じですね。
finetrack エバーブレスフォトン
こちらも国産メーカーでホームページの作りといい、なかなかこだわりを感じるメーカーです。
ストレッチに重きを置いているほか、5レイヤリングという概念でレイヤリングについて真剣に考えて各レイヤーに合った製品を提供しています。
シーンごとにどういうレイヤリングをしたらいいかも提案されているので、一度見てみると面白いと思います。
そんななかオススメなのがエバーブレスフォトンです。
スペックは
- 耐水圧20,000mm以上
- 透湿性10,000g/(m2・24hrs)
- 重量280g
とmont-bellのサンダーパス以下ぐらいに見えますが、リンクベントというファイントラック独自のベンチレーションシステムが付いているため、それと合わせると劣るということもないようです。
大きく勝っているのはやはりストレッチ性で横ストレッチが130%というのは他の生地にはない特性です。
実際に触ってみるとわかりますが、本当にかなり伸びます。
普通のレインウェアではひっぱってもほとんど伸びないため、それによってどうしてもツッパリ感が出てしまいますが、エバーブレスフォトンはそれが従来のレインウェアではありえないレベルで軽減されます。
お値段はストームクルーザーを越えるぐらいなので、なかなか手を出しにくいかもしれませんが、ベンチレーションが欲しかったり、通常のレインウェアのごわごわ感がちょっと…という人はぜひ試してもらいたい一品です。
おわりに
かなりこまごまと紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
いざというときに命を守るレインウェアということで、しっかりとしたものを選んでもらえたらなと思います。
とはいえ、なかなかお値段の張るレインウェアです。
本来のいざというときの道具という位置づけに加え、昨今は素材や縫製・仕立ての進歩が著しく、日常使いにも耐えるマルチユースギアとして進化しつつありますので、そういう点も視野に入れると少し買いやすくなるのではないでしょうか。
僕は傘をさすのが面倒で嫌いなので、割と日常的に使っている方だと思います。
みなさんもぜひそれぞれの用途に応じて最適な一枚を探してみてください!
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