灯油バーナーは灯油の安さや機能よりロマンで選ぶ!?灯油バーナー8選!
みなさんはキャンプのときの燃料は統一してますか?
よく理想的には統一したほうが良いという話がありますが、なかなか難しい面もあると思います。
なぜなら冬にもキャンプをする人は必須の暖房設備はおそらく薪ストーブか石油ストーブがメインで、石油ストーブを使う人は灯油を使うことになりますが、灯油を使えるバーナーがそんなに多くないからです。
しかも灯油バーナーは古いものが多く、ヴィンテージになっていたり、一発点火せずなにかとメンテナンスが必要な手間のかかる道具です。
実用性・効率を重視するなら対極にあるとさえいえるかもしれません。
つまり愛が試されるわけですね。
今回は取り上げたいのはそんななかなか見つけづらい上に手間もかかる灯油バーナーです。
そもそも手に入りづらいものも含め、メジャーなものを中心に紹介していきたいと思います。
この記事はどんな人向け?
・燃料を灯油で統一したいと考えている人
・冬は石油ストーブで暖を取っている人
・灯油バーナーのヴィンテージ感が好きな人
目次
灯油バーナーとは?
灯油を燃料としたバーナーのこと。ケロシンストーブとも。
灯油バーナーとは文字通り灯油を燃料とするバーナーのことです。
ガソリンが燃料の場合は、ガソリンバーナーやガソリンストーブと言ったりしますが、灯油ストーブというと暖房器具の石油ストーブと混同するのであまり言わないようです。
仮に灯油ストーブと言っているときはだいたい石油ストーブを意味していますが、たまに灯油バーナーを意味するときもありますので、内容を見て判断してみて下さい。
一方、灯油のことは英語でケロシンというので、ケロシンストーブやケロシンバーナーという言い方はするみたいです。
今回は紛らわしいので、以降は灯油バーナーで統一したいと思います。
灯油が安いというのもありますが、灯油バーナーはレトロでヴィンテージ感のあるルックスのものが多く、ロマンを感じるのが魅力ですね。
この魅力に取りつかれ、灯油バーナーを集めまくった人をケロシン沼や火器沼にハマったというみたいです笑
実際そうやって沼にハマってしまう人が後を絶たないぐらい魅力的なのがこの灯油バーナーです。
ヴィンテージ「感」といいますが、実際にヴィンテージ品なものも多く、オークションなどで高値で取引されているものが多いです。
さらに、現行品もかなり供給量が少ないため、なかなか手に入りづらいものが多いですね。
ネットでは探すのがかなり難しいので、店頭に足しげく通い、見つけたときは即買いするぐらいの気概が必要です。
これが燃料を灯油に統一しづらい原因となっています。
そのため、機能としては低温でもよく燃えて高火力という類似の特性を持つガソリンストーブを使う人が多いのかなと思います。
しかし、暖房が石油ストーブだと燃料は灯油なのでその時点で燃料の統一はかなわないですね。
安定して手に入る灯油バーナーはマルチフューエル系のもので、代表的なものだとMSRのウィスパーライトインターナショナルやドラゴンフライがあり、後半でも詳しく紹介します。
各燃料の特徴
簡単にガソリン、ガス、そして灯油の特徴を説明したいと思います。
ガスとガソリンの違いやガソリンとホワイトガソリンの違いなど、燃料についてはもう少し細かく書いている別記事がありますので、違いがよく分からないという人はぜひご一読ください。
ガソリン
ガソリンは引火点が約-40℃と極めて低く、引火性が高いため危険な燃料ですが、その分低温でも安定して着火することができること、火力が落ちず強いことの2点が主なメリットとなります。
登山で標高が高いところで使い人、雪中で使いたい人、冬の氷点下のキャンプで使いたい人など、シビアなコンディションで使いたい場合には非常に適しています。
デメリットは着火にあたりポンピング、プレヒートといったいわゆる「儀式」があって面倒なこと、特にホワイトガソリンの場合は燃料の値段が高めなこと、燃料の管理に気を使うことです。
燃料を押し出すポンピングや気化させるプレヒートは面倒ですが、だんだん愛着がわいてくると思いますので、場合によってはデメリットにはならないかもしれません。
ただ、価格についてはホワイトガソリンで一番メジャーなコールマンのエコクリーンで、実売価格でリッター当たり700円弱ぐらいはするので結構高いですよね。
車用のレギュラーガソリンを使えるものはコストが抑えられますが、ガソリンはいわゆる危険物なので扱いには注意する必要があり、容器もガソリン携行缶を使う必要があります。
また、レギュラーガソリンを購入するときはフルサービス(セルフサービスでない)のガソリンスタンドでスタッフの人にガソリン携行缶に入れてもらう必要があります。
ガソリンストーブについては別記事がありますので、よろしければご覧ください。
ガス
ガスはいわゆる液化石油ガス(LPG)のことで、OD缶やCB缶として売っているもののことです。
英語でガソリンのことをガスと言ったりするので、非常に紛らわしいですが、上述のホワイトガソリンやレギュラーガソリンとは別物です。
おそらく昨今アウトドアで使われる火器としては最もメジャーなものです。
というのもシングルバーナー(もちろんツーバーナーでもいいです)を使えば、簡単に火をつけることができる手軽さあるからです。
火力もそれなりに強いですし、火力調整はかなり繊細にできるので汎用性は高く、シンプルな湯沸かしもいけますし、簡単な調理ももちろんいけます。
一見万能なガスですが、デメリットはドロップダウンです。
ドロップダウンとは気温が非常に低いときや連続で使用したときに火が付かなくなったり火力が低下したりする現象のことです。
これは中の液化されたガスが気化するときに気化熱が熱を奪っていくことにより起こります。
要は中身を使うにつれて缶の温度が下がっていき、どんどん中身が気化しづらくなってしまうということです。
気温が低いときは気化熱で奪われるまでもなく缶の温度が低いので、やはり中身が気化しづらくなってしまいます。
低温に強いガス成分のものを使ったり、バーナーの熱を少し伝えたり、原始的に手であっためるなどの対策がありますが、冬にもキャンプをする人や、冬に登山する人などは他の燃料を選ぶことも視野に入れたほうが良いと思います。
逆にそこまで厳しいコンディションで使わないよと言う人は真っ先に候補に入れることをオススメするのがガスバーナーですね。
ガスバーナーについては別記事があるので、よろしければご覧ください。
灯油
灯油は使い方としてはガソリンに似ています。
引火点は+40℃ぐらいとガソリンに比べると80℃ぐらい高いですが、どうせポンピングやプレヒートをして使うため、冬場でも安定して燃料になります。
いわゆる石油ヒーターの燃料は灯油なので、みんな比較的なじみがあると思います。
灯油の一番のメリットはやはり安いことだと思います。
入手は主にガソリンスタンドででき、値段はばらつきがありますが、100円/L以下なので、他の燃料に比べると圧倒的に安いと思います。
デメリットは、バーナーとして使うとき、多くの場合ガソリンと同様にポンピングとプレヒートが必要になること、煤が付きやすくメンテナンスが必要なこと、冒頭に言及したようにそもそも灯油を使えるストーブがそんなに多くない点です。
他のデメリットはともかく、そもそも使えるものが少ないのが一番デメリットですね。
新品でも一回炎上してから落ち着くという製品も多いので、安全性的に各メーカーあまり作りたくないのでしょうか?それともホワイトガソリンを売りたいんでしょうか?
真相は分かりませんが、いずれにしても灯油を使う場合は、灯油を使えるバーナーを手に入れるところがまずハードルとなります。
灯油バーナーを選ぶポイント
使える燃料は灯油以外にもあるか否か。
灯油だけしか使えない灯油バーナーはなかなか手に入れづらいので、ガソリンストーブの中でマルチフューエルタイプのものを探すのがわりと現実的で手っ取り早い方法です。
マルチフューエルタイプでもホワイトガソリンに加えて車用のレギュラーガソリンしか使えないものと、灯油も使えるものがあるので、灯油を使いたい場合は間違えないようにしましょう。
灯油を使える場合も、緊急用だったりやたらと煤が出やすくないかは調べられる範囲で調べておくといいかもしれません。
機能で選ぶか、ロマンで選ぶか。
この2つは両立しないわけではないと思いますが、バーナーとしての使いやすさをとるか、見た目から感じるロマンをとるかはある意味選択肢になるのかなと思います。
そしてバカみたいな話ですが、ロマンをとる場合、好きになれるかは意外と重要な要素です。
なぜなら、どう考えてもガスバーナーなどと比較して面倒だし、手間もかかるからです。
効率重視ならそもそも絶対灯油バーナーは選ばない方がいいです。
ここまで読んでやっぱやめようかな…と思っている人はある意味正解です。
そんな面倒なものを選ぶ動機となるのはもはや好きかどうか以外の何物でもないと思います。
痘痕(あばた)も靨(えくぼ)とはよく言ったもので、面倒な手間などもギア自体がお気に入りであれば、苦にならなくなるはずです。
ある意味ユーザーを試しているとも言える灯油バーナーですが、本当に好きになれるものを見つけた場合は存分に沼にハマっていただければと思います。
機能で選ぶ灯油バーナー2選!
[MSR] ウィスパーライトインターナショナル / ドラゴンフライ
手に入れやすさではNo.1のマルチフューエルバーナー。登山界では有名でかなりの実績あり。
まずは、機能や使いやすさ、そして手に入りやすさも含めて選ぶと、 ウィスパーライトインターナショナル / ドラゴンフライです。
この2つはMSRのマルチフューエルバーナーでホワイトガソリンからレギュラーガソリン、灯油、ドラゴンフライに至ってはディーゼル油、果てはジェット燃料まで使うことができる非常に汎用性の高いバーナーです。
MSRの製品ということで登山をする人たちの間では有名なバーナーですね。
形状は燃焼部と燃料缶が分かれている分離型で、五徳も大きく安定感がありますが、登山用ということでけっこうコンパクトになります。
ウィスパーライトインターナショナルもドラゴンフライもいわゆる灯油バーナーに見られるようなレトロでクラシカルなルックスではないので、好きになれるかという点で言うともしかしたら好みが分かれるのかもしれません。
少なくとも真鍮のボディだったりというものではないので、そういうレトロ感、クラシカル感、ヴィンテージ感を求める人にはちょっと違うのかもしれません。
ただ、登山でも使われることからも分かるように、ウィスパーライトインターナショナルとドラゴンフライの魅力はその機能性です。
機能面で言うと、ウィスパーライトインターナショナルとドラゴンフライはぱっと見は一緒なんですが、
- 使える燃料
- 火力と火力調整のしやすさ
- 燃焼音の大きさ
が違います。
使える燃料は上述の通りで、ウィスパーライトインターナショナルはホワイトガソリン、レギュラーガソリン、灯油ですが、ドラゴンフライは加えてディーゼル油、ジェット燃料まで使えるのでなんでも使えるレベルです。
ちなみにジェットというパーツが2種類付属していて、灯油を使う場合はジェットを初期装着品から交換する必要があります。
次に火力と火力調整ですが、
- 火力:ウィスパーライトインターナショナル:2772kcal/h > ドラゴンフライ:2192kcal/h
- 火力調整:ウィスパーライトインターナショナル < ドラゴンフライ
です。
火力はウィスパーライトインターナショナルのほうが高いですが、ドラゴンフライも足りないということはないレベルだと思います。
ドラゴンフライは火力調整用の二重バルブがついているので、火力調整は得意です。
ウィスパーライトインターナショナルはガソリンの供給自体を絞って火力を調整するので、調整が難しいですし限界がありますが、全くできないわけではないです。
音については、ドラゴンフライが圧倒的にうるさいです。
ウィスパーライトインターナショナルはそれに比べるとかなり静かなのは、ウィスパー(ささやく)という名前の通りです。
まとめると、レトロ感、ヴィンテージ感はないが、機能的には非常に優れているのがウィスパーライトインターナショナルとドラゴンフライです。
トロ火(弱火)をとるか静音をとるかでドラゴンフライかウィスパーライトインターナショナルかが変わってきますね。
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ロマンを感じる灯油バーナー6選!
[武井バーナー] パープルストーブ 101C / 301A / 501A
灯油バーナーと言えば一番最初に挙がるほどの名品。コンパクトでもパワフル。
武井バーナーは、灯油バーナーというと必ず名前が挙がるといっても過言ではない有名品です。
真鍮のボディがなんとも古めかしくマニアの心をくすぐるのもよく分かる無骨なカッコよさがあります。
単純に武井バーナーと呼ばれたり、301A、501Aなどの型番で呼ばれたりしますが、武井バーナー株式会社がメーカー名でパープルストーブというのが名称です。
バリエーションは101、301、501の3種類あります。
このパープルストーブは武井バーナーというだけあって灯油バーナーですが、パープルストーブというだけあって、ストーブ(暖房器具)でもあります。
上に乗っている針金をぐるぐる巻きにしたバネのようなものが入っているところがヒーターユニットで、ヒーターユニットを取り外すとバーナー、乗せるとストーブになります。
このヒーターユニットが含まれているのが「セット」と言われるもので、キャンプに使う人はほとんど、101Cセット、301Aセット、501Aセットのいずれかを選んでいるようです。
特に選ばれるのは301Aセットか501Aセットですかね。
型番間の違いは主に大きさの違いに対応していて、タンクの容量や暖房能力、燃焼時間に差があります。
だいたい燃焼時間で301Aか501Aかを決める人が多いみたいですね。
概要が分かったところで、バーナーとしての能力ですが正直使い勝手はよくないです。
というのも火力は全開が基本で調整はほぼできないからです。
調整するなら鍋を物理的に遠ざけて調節する感じですね。
ですので、単純にお湯を沸かすみたいな使い方が適しているのかなと思います。
それでも人気の理由は見た目のヴィンテージ感もさることながら、やはりバーナーとしてというよりはコンパクトな石油(灯油)ストーブとしての用途がメインの人が多いからだと思います。
石油ストーブはトヨトミ、アルパカ、アラジン、コロナあたりが主ですが、パープルストーブはもっとも大型の501Aセットでさえそのどれと比べても小型なため、まずそれだけで価値があります。
ですので、現在も生産中ですがなかなか追い付かず、手に入りづらいのが現状ですね。
まとめると、武井バーナーのパープルストーブシリーズは
- ヒーターユニットがついてストーブにもなる灯油バーナー。
- 真鍮ボディでヴィンテージ感があり、趣は最高。
- 火力調整はできず、バーナーとして使うときは強火のみ。
- ストーブとしては小型なのにパワフルで非常に優秀。
- 供給量は多くなく手に入りづらい。
という感じです。
バーナーとしての使い方は補助的で、ストーブ使いがメインの人用かなと思います。
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[MANASLU(マナスル)] マナスル96 / 121 / 126
引用元:マナスル公式サイトより
半世紀以上前から生産され続けている純国産の灯油バーナー。
マナスルも武井バーナーと同じく国産のメーカーで、なんと半世紀以上前から生産され続けている灯油バーナーです。
マナスルとはネパールの山の名前で第一次登山ブームを象徴しています。
ちなみに吉川製作所というところで生産されています。
見た目は武井バーナーと同じように真鍮のボディで錆び知らずの趣のある見た目です。
マナスルはこの見た目だけでやられてしまう人が多数のモデルです。
しかし、マナスルは長く生産され続けていることからも分かるように見た目だけではなく完成度が高く、灯油バーナーの傑作とまで言われることもあるモデルです。
もともとはスウェーデンのプリムス・ストーブのものをもとにしたようですが、安全弁を設け過熱によりタンクが破裂するのを防いでいる点が特徴です。
一体型のため、確かに大きめの鍋を長時間置いたりすると輻射熱で燃料タンク自体が過熱される可能性があり危険ですが、その点安全弁が付いていると安全ですね。
他の特徴としては火力調整を圧力調整で行うことです。
火力調整ができるモデルは普通MSRのように二重バルブがついていたりしますが、マナスルは内圧を抜くことで弱火、再びポンピングすることで強火にできます。
要は供給する灯油の量を調整することで火力を調整しているということだと思います。
現行サイズは96、121、126の3つあり、おもにタンクの容量違いです。
数字が大きくなる順にタンクの容量が大きくなっていきます。
マナスルもなかなか売り切れていることが多いですが、武井バーナーに比べたらマシだと思いますので、見つけたときはぜひゲットしてみて下さい。
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おわりに
今回なかなか希少価値の高い灯油バーナーを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
そもそも手に入りづらいものが多いですが、その分手に入れられれば喜びもひとしお、愛着もわくというものだと思います。
くれぐれも沼にハマりすぎないように注意してお気に入りの灯油バーナーを選んでみてください。
それでは今回の記事がみなさんの灯油バーナー選びの一助となれば幸いです!
※実売価格は記事執筆時のネット上での実売価格となり、変動するものなのでご了承ください。
Photo by Dean David on Unsplash
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